法対策部
意見書

税理士試験制度についての意見書

国 税 審 議 会
会長 辻 山 栄 子 殿

平成17年5月12日
全国青年税理士連盟
会 長   中西 毅
東京都渋谷区千駄ケ谷5-21-12
電話 03-3354-4162

 達全国青年税理士連盟は3,000余名の若手税理士をもって組織されており、国民のためのより良い税理士制度、税務行政、税制を実現することを目的として日々活動している。
 て現在、税理士試験は税理士法第6条に従って実施されているが、われわれ全国青年税理士連盟は、税理士試験制度に対して以下意見を述べるものである。

1.税理士試験制度の改正の必要性

 今、我が国の社会・経済状況には大きな変化があり、この環境の変化に対応できるよう商法や法人税法等の法改正が次々と実施され、これに伴い税理士実務も複雑かつ多様化している。また、平成13年には税理士法の改正が行なわれる等、税理士制度を取巻く状況も激変してきている。かかる変化により税理士の果たす役割にも無視しがたい変化が生じている。
 務の現場において、税理士は社会・経済状況が変化している環境下のもと、税務調査や税務訴訟等に対応できるよう、これまで以上に幅広い法律知識とより強固な法理論をもつ必要がでてきた。
 た、平成13年の改正税理士法により認められた補佐人制度をはじめ、コンピューターの普及によるコンピューター経理の大衆化、電子申告制度の実施、公益的業務への積極的な参画等々、この数年以内だけでも税理士業務は変化してきている。今後も日本税理士会連合会が、税理士業務の拡大を図るために様々な分野に働きかけをしていくことが予想される。さらに、外部監査人のように社会的要請から税理士にも求められる業務を行なうこともあろう。税理士は、これまでの記帳代行業務や申告書作成業務といった従来からの業務だけでなく、多様化かつ高度化していく業務に対応していかなければならなくなってきた。
 かる時代の流れとともに、税理士に求められる資質及び学識も大きく変化していくことは当然のことである。納税者利便の向上に資する信頼される税理士制度を確立するためには、税理士になるために合格しなければならない税理士試験も、最近の社会経済情勢や実務を取巻く状況を踏まえ、その制度を改正する必要があると考える。
 理士試験制度は、税理士法第6条に規定されている。その中で、税理士試験の目的として、「税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定すること」としている。これを踏まえて、ここでは以下の2つの観点から税理士試験制度について検討していく。すなわち、@現行の税理士試験科目、とりわけ受験科目となっている試験科目が、税理士業務の実態を反映したものであるのか。A目的にある税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するか否かを判定できる試験内容であるのか、である。

2.@について検討

 会社法制に伴い会計参与制度が創設される。この制度では、税理士は会計の専門家として位置づけされている。また、裁判外紛争解決手続(いわゆる『ADR』)制度や成年後見人制度等、現在日本税理士会連合会で税理士業務の拡大として職域としようとしている業務に関してはその多くが、税理士は法律の専門家であるというスタンスである。近時のこのような税理士業界を取り巻く環境の急速な変化を考慮しても、法律科目については、少なくとも憲法及び民法並びに商法という科目については、これらを試験科目として採用し、いずれか1科目は必修科目とすべきである。最低限かかる試験科目を受験し、合格していないと税理士資格を取得できないという試験制度でなければ、税理士は法律の専門家とは言えない。さらに法律科目について言えば、税務訴訟における補佐人制度や今後得られるであろう訴訟代理権、さらに全国的に増加傾向にある税務訴訟、といったことを考えると、民事訴訟法や行政事件訴訟法といった科目や国税通則法を受験科目にすることも必要である。

3.Aについて

 理士試験を実施する目的とされる『税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうか』という文言に照らして現行試験の出題内容を検討してみると、一部の規定の説明だけを解答として求める問題や当期純利益及び課税標準を短時間で計算するといった試験内容では、その目的を果たせないのではないかと考える。理論問題における条文を丸写しするような問題や、計算問題における制限時間内ではとても解答できないようなボリュームのある問題内容では、税理士となるのに必要とされる学識や応用能力は必ずしも判定できない。暗記力や計算能力を問う出題内容よりも、当該試験科目に対する理解力や応用力を要求する出題内容に改める必要がある。
 えば、我が国と同様に税理士試験を実施しているドイツの税理士試験の問題内容を、我が国の税理士試験のそれと比較してみると、かなり異なった問題内容となっている。ドイツの税理士試験(3日間かけて3科目の試験が実施され、それぞれ6時間の解答時間となっている。)ではどの科目を見ても、1問の問題は数頁にわたる長文で設問され、解答もほとんどが論述式となっている。これらを見る限り、正答するには当該科目につき、相当の理解が求められ、様々な理解力及び応用力並びに判断力が問われるものとなっている。
 た、法律家として必要不可欠なリーガルマインドが受験勉強を通じて養成できるというという観点から言っても、例えば、新司法試験における租税法の出題内容にみられるようなケース・スタディ的な問題も望ましいと考える。
 理士試験の目的を反映させようとするのであれば、かかる形式の試験問題も採り入れるべきである。

4.改正の要望

 上、2つの観点から現行税理士試験の課題と改正すべき点を述べてきた。これらをまとめると以下のようになる。

@実務上より重要かつ有益な分野を試験科目として採用すべき。
 社会経済情勢及び税理士業務の実態を考慮すれば、少なくとも憲法・民法・商法・民事訴訟法・行政事件訴訟法・国税通則法を法律科目の試験科目として採用し、1科目は必修科目とすべきである。
A当該受験科目につき理解力及び応用力を重視する出題形式への変更
 現行税理士試験においては、暗記力及び計算力重視の試験に偏りすぎているため、試験問題がいたずらに難しくなり、半面、実務応用能力を十分に発揮できない欠陥がある。このような出題形式から、当該試験科目の理解力や応用力を問う出題形式へと変更すべきである。
 れらの改正要望点は、早急に貴会にて検討し、実現して頂きたい事項である。もちろん、これらのことを実現化するためには、税理士法の改正を行なう必要がでてくるので、それ相当の時間もかかるであろうが、税理士法第6条に規定している税理士試験制度が、将来税理士となっていく者にとって業務を行う上で必要とされる能力を適格に判定できるようなものとなることを期待する。

以 上


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